タロットの逆位置の解釈問題
タロット占いを挫折せず独学で習得したい人におすすめの勉強方法を紹介。スムーズに最短でタロットを習得できるように挫折しやすいポイントを押さえながら、タロットを独学で習得するための勉強方法を順序を追ってわかりやすく説明していきます。
前回の挫折しない! タロット占いを独学で習得したい人におすすめの勉強方法 タロット入門4はこちら
前回は大アルカナで特に覚えておきたい象徴について述べました。
今回はタロットの逆位置についてお話をしたいと思います。この逆位置の取り方をどうするかというのも、タロット占いを独学で習得する時に挫折しやすいポイントの一つなのです。
タロットの「逆位置」ってなに?
タロットカードの絵が正しく出ることを「正位置」、逆向き(さかさま)に出ることを「逆位置」といいます。
タロットは偶発性から占うツールで、卜占(卜術)の種類に入ります。
ですから、タロットカードが逆位置に出たという偶然に意味を見出し、正位置とは少し違ったニュアンスで捉えることがあります。
逆位置の採用の是非について
「結局のところ、逆位置は採用した方がいいの?」タロティスト同士なら、よく話題になることの一つです。
先に結論をいうとタロティストそれぞれ、その時々のやり方でよいという答えに行きつきます。
熟年のプロの占い師さんとお話する機会があるごとに、逆位置を採用しない方はたくさんいるとお聞きます。
理由は「タロット占い歴を重ねるごとに逆位置に違和感を感じるようになった」とのこと。私の感覚でも、逆位置でも正位置でもそのタロットカードの意味に本質的な違いを感じないのです。正位置・逆位置に拘る方に向けては、逆位置をしっかりとりますが…これは後ほど改めて述べます。
またタロットデッキによっては初めから「逆位置を採用しない」とされているものもあります。
有名なところではトート・タロットやそれに準じて作られているデッキでは逆位置を採用していません。
※タロットではないのですが、人気のオラクルカードにも逆位置という概念がありません。
一枚のタロットカードに明確で分かりやすいメッセージが詰まっているタロットデッキで逆位置を採用しようとすると、いうまでもなく「すべてのタロットカードが極端に悪い意味になる」「他に受け取りようがない」といった現象が起こります。
そのようなタロットデッキは製作者が逆位置の採用を想定していない可能性がありますし、無理に解釈しようとしないほうがよいということになります。
逆位置を採用するメリット
逆位置をしっかりととるタロティストさんの理由は突き詰めると以下の二点です。
1.前述の通り卜占(卜術)であるタロット占いでは「カードが逆に出る」という偶然にも、必ず何らかの意味がある。
2.タロットカードは1セット78枚ですが、逆位置を用いることによって156枚のカードが手元にあるかのように幅が広がる。
逆位置を採用しない理由
しかしその一方で、逆位置を採用しない占い師の先生がいらっしゃることも事実で、理由は、逆位置でも正位置でもそのカードの本来の意味に本質的な違いを感じないことです。
理由は以下の3つです。
1.逆位置でもタロットカードの持っているコアの部分は変わらない。
2.あくまでも変わってくるのはニュアンス。
3.しかも、正位置で出た場合にも捉えようのある内容である。
タロット占いを実践して経験値を積むほど、感じられることでしょう。
逆位置を採用しない方がよいと思われる場合
経験上、逆位置についてお伝えできることは、以下の4点です。
1.逆位置を採用しないほうが馴染むタロットデッキでは逆位置を採用していません。
2.展開したほとんどのタロットカードが逆位置で出た場合は、それらのタロットカードを正位置と捉えたほうがしっくりくることが多いので、そのようにしています。
対面で占う場合、特にタロット占いの知識があるクライアントさんには「あなたにとても伝えたいと思ってるからカードの多くがそっち側を向いているみたいね」と、感じたままにお伝えしながらリーディングを進めています。
3.時々、クライアントさんのお話を伺っていると「この方のお人柄、話の内容、質問には、逆位置の採用はしっくりこない」と感じるケースも当然あります。
その場合は逆位置で出たカードもすべて正位置としてリーディングを始めています。
4.これは3にも通じますが、意味がどうしても繋がらない場合があれば、他の展開されたカードとのバランスを見て、正位置としてリーディングします。
結局、逆位置をどう取るか?
何度も述べてきた通り、タロット占いは自由度の高い占いで、正解も不正解もありません。ですから、逆位置は採用してもいいし、採用しなくてもいい。
あなたにとって納得感がありしっくり来ているかどうかがすべてなのです。
結局、逆位置の採用の是非に正しい正しくないなんてありません。
そもそも論として「結局逆位置は採用した方がいいの?」という話題は、それぞれのタロットリーダーが自分のやり方に納得していれば出ないことですよね?
つまり「逆位置の扱いはタロットと付き合う内に迷いが生じやすいポイントである」と、頭の片隅のどこかで理解しておけばよいのではないかと思います。
ここで難しく考えてしまうと、タロット占いを独学で習得する際の挫折につながりやすくなります。
ただ、タロット占いの独学の途中で、もしも逆位置を用いない理由が「なんとなく難しいから」「よくわからないから」なら少し違うかな…とは思います。
それは「逆位置を採用しない」ではなく「逆位置を採用できない」ということになりませんか?
タロットリーディングは解釈の枠を広げていくことにより、質問されたことに思いもよらない角度からスポットライトを当てることのできるのが醍醐味のひとつです。
あなたにとって逆位置という概念がしっくりくるかどうか判断するためにも、一度は逆位置の解釈にチャレンジしてみてはいかがでしょう?
もちろん「今のところ78枚で手一杯で、これ以上幅を広げられないので暫定的に正位置のみを用いよう」というならばタロティストとして誠実ですし、それも一つのやり方としてOKだと思います。
逆位置の解釈の仕方
タロット教本の丸暗記でタロットをマスターしようと思うと、正逆合わせて156のカードの意味を暗記しなくてはならず、逆位置の採用でつまづいてしまうことにもなりかねませんが、これまで当サイトで何度も述べてきた「カードの絵の印象を自分なりに解釈し意味を見出す」という基本ができていれば、逆位置の解釈はそんなに難しくありません。
要はつまり「正位置の絵をよく見た上で、それを逆さまにした時、あなたはどう感じますか?」ということです。
もしもこの愚者のカードが逆位置で出たとしたらあなたはどう感じるでしょうか。
試しに解釈してみると、
「上を見てないで前を見て!」
「崖だよ! 危ない!」
「自由がすぎない?」
「夢見がちで現実が伴っていない」
「地に足をつける必要がある」
「他者の忠告に目を向けよう」
「目的の地はまだまだ遠い」
「ずっと明るい気分ではいられない」
「あなたは本来明るい人のはず」
正位置でも感じとれる要素の中で、特定のイメージのものがさらに強まる感じです。
いま挙げたイメージを一つ一つ見ていくと「明るい気分ではいられない」「本来明るい人のはず」などのように全く相反しているものもあり、一貫性がないようにもみえます。
どちらの意味がそのタロット占いの場面で相応しいかは、クライアントの質問内容や、クライアントから感じ取れるキャラクター、複数枚のタロットカードを引いているのなら他のタロットカードは何を指し示しているか…などに大きく左右されます。
もし判断する要素が何もないのであれば、
「このカードは“ずっと明るい気分ではいられない”、“あなたは本来明るい人のはず”という両極端な意味をはらんでいます。今の状態では情報不足でどちらが当てはまるとも言い難いのですが、少なくともあなたはいま手放しで夢を見て心を自由にすることはできていないのではないでしょうか」(なぜなら愚者が逆位置で出ているので)
と、二つの解釈の仕方があり判断がつかないことも含めてありのまま伝えるのが、タロティストとしての誠実さだろうと思います。
とはいえ、実占をこなしていけば、「今この人にこれを伝えたくてこのタロットカードは出たんだろうな…」と何かしらピンとくることが多くなります。
例題 愚者が逆位置で出た
では例題として、いま逆位置の愚者を一枚引いたとします。
“今あなたが心からワクワクして計画してる内容には、大切な部分に何かしらの見落としがあると愚者逆位置が忠告しています。
この見落としに気が付けば、計画は上手くいくでしょう。
あなたはこの計画について、楽観的になりすぎていませんか? 他者の意見を求めると高揚感を削がれる、返って迷いが生じると感じているのかもしれません。
その方針は決して間違いではありませんが、問題なのは0か100かの極端な二択になってしまっていることです。
ほんの少し心を開いて、せめて10だけも耳を傾けてみませんか?
周りの意見は何もあなたを惑わせるものばかりではなく、あなたの今後により一層広がりを持たせてくれる素敵なアイディアを持っている人がすぐ身近にいますよ“
…といった風でしょうか。
タロット占いで難しいのは、うまく言語化して伝えることですね。
ひらめきであることはもちろん、勘といえば勘だし、感性のアンテナがキャッチした些細な情報の集合から導き出したというか、これまでの経験から導き出されているのかもしれません。
逆位置を整理してみると
逆位置を整理してみると、以下の4点に集約できます。
1.その絵に示されている光の要素が強すぎる
2.逆に光の要素が弱すぎる
3.そのタロットカードの絵柄に示されている闇の要素が強調されている
4.そのタロットカードと次番号のカードの間の状態である
以上のどれか、もしくは複数に当てはまります。
先程の愚者逆位置の解釈を当てはめると…
1.その絵に示されている光の要素が強すぎる
光が強すぎて他が見えていない状態。
「自由がすぎる」
「夢見がちで現実が伴っていない」
2.光の要素が弱すぎる
逆に光(明るい部分)が弱すぎて、気弱になっている状態。
「あなたは本来明るい人のはず」
3.影の要素が強調されている
そのタロットカードの影の部分が協調され、方向性が間違っている状態。
「上を見てないで前を見て!」
「崖だよ! 危ない!」
「目的の地はまだまだ遠い」
「他者の忠告に目を向けよう」
4.そのカードと次番号のカードの間の状態
そのカードの状態はもう経過したはずだから抜け出けだして、次のステージに進むとき。
「ずっと明るい気分ではいられない」
「地に足をつける必要がある」
簡単でしたが、こういった風に分析することができます。
4.そのカードと次番号のカードの間の状態「そのカードの状態はもう経過したはずだから抜け出けだして、次のステージに進むとき」という考え方は、あまり一般的ではないかもしれません。
私は逆位置を次番号のカードの間の状態と捉えることがあります。
「愚者逆位置」は「愚者正位置」と「魔術師正位置」の間の状態といった感じです。
特に小アルカナでは、各スートごとに1から10までのカードでひと繋がりのストーリーのようにもなっていますので、想像しやすいかと思います。
例えば…
ワンド(棒)2は、地球儀を持った人が今後に向けて計画を練っている絵(もしくは世界を俯瞰している)です。
次番号のワンド(棒)3は、遠い海ゆく先人たちの船に視線を移し旅立ちの瞬間が描かれていますね。
ですから、ワンド(棒)2が逆位置で出た場合は、
「未知の旅立ちを思うと少し不安で心細いような気がして、ずっとこの段階に踏みとどまっていたいと思ってしまっているのかもしれませんが、大丈夫! “もう十分にあなたは計画を練ったのだから、次の段階へいこう”と、ワンド2のカードが逆位置で出ることで語りかけ背中を押していますよ」
といった風にリーディングすることがあります。
もし「なるほど」としっくりきた方は、取り入れてみてくださいね。リーディングの幅が広がるかと思います。
最後になりましたが、「逆位置なのだから、正位置の意味を真逆にして捉えよう!」という考え方ももちろんOKです。
タロット占いの解釈の仕方は十人十色ですから、正位置は光の要素、逆位置は影の要素、と完全に分けた方がしっくりくる方に適しているかもしれません。
ただ私の場合は、どのカードも正位置の状態ですでに光の要素と影の要素があると感じており、意味を反転させる必要がないためこの考え方は個人的に採用していません。
まとめ
いずれにしろ大切なのことは、とにかく自分の感性を信じ重んじることです。
「ちょっとよくわからないけど、とにかく逆位置もやってみようかな」
「いまは正位置のみで精一杯だし楽しくできそうだから、後々やってみようかな」
どちらでもOKです。
自分のペースで、タロットと仲良くなりましょう。
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