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タロットの詳しい歴史と魔術的な側面 | タロット星庵

タロットカードの起源には諸説があり、はっきりしたことはわかっていません。
ここでは一番有力な説とその他の諸説、魔術的な側面をまとめて紹介します。

タロットの詳しい歴史と魔術的な側面

タロット最古の記録は1396年 フランス

最古の記録は、1400年代前半のイタリアとされていますが、1396年にフランス国王シャルル六世のためにカードが製作されるとの記述が当時の財務記録にあります。

ただ、現存するタロットは1415年、ミラノ(現在のイタリアの北部)大公ヴィスコンティのためにタロットが製作されたものです。

他の記録として、15世紀(1400年代)前半のイタリアで、エステ家で用いられていたというもので、正確には、おそらく1442年~1447年の間とされているものもあります。

ちなみに、年が確実にわかるものは、カードに日付が書かれている1484年のものです。

ただ、当時、正確に何に使われていたのかはわかりません。

ゲーム用か占い用か、あるいはただの絵の観賞用か、その用途は不明です。

占いとして使われた記録が残っているのは18世紀なので、それからさらに300年程度後になります。

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タロットの謎の多い由来と歴史を簡単に振り返ります。タロットが現在のような形として爆発的に広まったのは近年のことです。比較的新しく自由な占術であるタロット占いを楽しみ、人生に活かしていくことができればいいですね。

エジプト起源説

タロットは占術および賭博の道具として伝えられてきましたが、魔術と接点を持つようになるのは意外に近世に入ってからです。まずは詳しい歴史と起源説を整理しておきます。

エジプト起源説が起きたのは、18世紀(1700年代)正確には1781年、フランスの作家ド・ジェブランが「原始世界」という著作で、いわゆる“タロット=トートの書”説を提唱しました。

ド・ジェブランの直観でしょうか、彼はタロットカードと出会った時これをすぐに「古代エジプトの象徴画本」と断定します。

この説が広く流布して、現代まで生き残っています。

この説が支持されたのには理由があり、当時の西洋には空前のエジプトブームが起きていたのです。

まだ有名なロゼットストーンの発見もなく、ヒエログリフ(エジプトの象形文字)も解読されていなかったこの時代、西洋人にとってエジプトというのは謎に満ちている神秘的な場所だったのです。ちなみにこの頃、解読不能といわれていたヒエログリフ(エジプトの象形文字)をシャンポリオンが解読に成功しています。

そこに影響力のあるド・ジェブランが自信満々に「エジプト起源」と断言したことに加えて、

1791年に、やはりフランス人の有名な占い師エッティラが「トートの書の理論と実践」なる書物で“タロット=エジプト起源説”を披露し、この説はますます世に広がり、この説が定着してしまいました。

それから約300年経った現在でも、エジプト起源説の証拠となるような資料はなく、今ではこの説を有力視する人は少なくなっています。

ユダヤ起源説

これは19世紀(1800年代)正確には1856年に、神秘思想家のエリファス・レヴィによって提唱されたものです。その著書「高等魔術の教理と祭儀」においてタロットをカバラとはじめて結びつけました。すなわちこのとき、タロットと魔術が出会ったといえます。

彼は「近代西欧魔術の父」とも呼ばれる人物で、ランボーやボードレールなど、文学史に残る作家たちにも大きな影響を与えています。

レヴィがユダヤ起源を唱えたのは、タロットカードの種類が「22枚」で、ヘブライ文字のアルファベットも「22文字」だったからです。

タロットカードの「種類」というのは、「大アルカナ」のことです。タロットカードの種類は、

・大アルカナ…寓意画(ストーリーを表現したような絵) 22枚
・小アルカナ…人物画 56枚

となっていますね。

この大アルカナの22枚と、ヘブライ文字の22文字に共通点を見出したわけです。

このユダヤ起源説もこれ以外の根拠は何もないのですが、当時のフランスで大きな影響力を持っていたレヴィの発言で、エジプト起源説と地域的に似ているということもあり、抵抗なく受け入れられました。

当時の支持の高さによって現代でもこの説が生き残っていますが、これもエジプト説同様、いまだに正確な根拠は見つかっていません。

その他の説(ジプシー、中国など)

ジプシー起源説

これは「放浪するジプシーたちが広めた」というものです。

この説は、ジプシーの歴史を分析すると微妙なタイミングなのです。

というのも、タロットカードが確認されている最初の記録が「1400年代前半」のイタリアということなのです。

そして、ジプシーが初めてヨーロッパに現れたのは、最初の記録で1407年のドイツでした。

また、フランスに初めて登場したのは1427年。

イタリアに現れたのがいつかは正確にはわかりませんが、こうしてヨーロッパの各地に現れ始めたことを考えると、確かに「ギリギリ辻褄が合う」かもしれません。

※ジプシーは差別語とされていますが、「ロマ」は一つの民族であり、タロットの起源を語る場合やジプシースプレッドというタロットのスプレッドにもあるように、遊牧民全般を差す「ジプシー」が適当とされています。なので、ここではあえて「ジプシー」と表記させていただきました。

中国(東洋)起源説

これは、中国に古代からあった占いの「易」の「六十四卦」が、タロットカードに姿を変えて、西洋に伝わったというものです。

「六十四卦」というのは、誰もが知っている「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と関係があります。

勘のいい方はすぐに気づいたと思いますが、八卦と八卦をかけると、六十四卦になります。

六十四卦は「先天の八掛」「後天の八掛」の図象の組み合わせで生まれるものです。

確かにこれが絵になったというのはタロット起源として否定できませんが、タロットカードは66枚ではなく「78枚」ですから、少し矛盾しています。

数が途中で変わるということはもちろんあるでしょうが、それなら数が変わる前のカードが中国で見つかっているべきなので、それが見つかるまで中国(東洋)起源説はまだ弱いと言えます。

その他の説としてはインド起源などもありますが、結局のところ、どの説が正しいのかは今となっては誰にもわかりません。

タロットと魔術との出会い

ユダヤ起源説で記述したとおり、レヴィ以前、いかにエッティラ等がタロットをトートの書と結びつけようとしたところで、肝心のトートの書やエジプト古代宗教の実態が不明であるため、ほぼ徒労に終わったことでしょう。

タロットとカバラの間にある共通点といえば、大アルカナが22枚、ヘブル語のアルファベットも22文字というこの一点のみ。ただしカバラには「形成の書」と称する神秘文献があり、ここに生命の樹とその32の小径の占星術配属が記されています。この文献を土台にタロットにも占星術配属を持ちこんだとき、タロット魔術が生まました。

そして22枚あるタロットの大アルカナを生命の樹にいかに配置するかという点で大いに議論が分かれ、さらには大アルカナの順番の変更というタロット史上の大事件にも発展することになります。

黄金の夜明け団とタロット

レヴィが唱えた「タロット=カバラの秘儀」説をそのまま継承し、さらに発展させたのは英国のオカルティストたちでした。

とくにカバラ研究者ウィリアム・ウィン・ウェストコット(1848-1925)はレヴィの記述をフォローする形の出版物を多数出しています。「ベンボー枢機卿のイシス・タブレット」はレヴィの「魔術の歴史」に元にしたものですし、「神聖王国の魔術儀式」はレヴィの未発表原稿を土台にタロット解釈を打ち出すものでした。

このウェストコットが中心となって1888年に組織されたのが魔術結社「黄金の夜明け」団です。この団体はタロットの配属を決定し、さらにはタロットを用いる霊視までを行うようになりました。

ライダー・ウェイト版も発表されたのは20世紀

20世紀に発表された主要なタロットとしては1910年発表「ライダー・ウェイト」と1944年「トート」がありますが、どちらも「黄金の夜明け」団の団員が作成したものです。現行のタロットはほとんど「黄金の夜明け」団のシステムにそって考案されています。

タロットの歴史を通覧した場合、14世紀から18世紀半ばまではイタリアが中心であり、以降19世紀半ばまではフランスが中心となっています。そして「黄金の夜明け」団の登場以降、現在に至るまでタロットは英米を中心に動いています。

なぜ魔術師たちはタロットに夢中になったのでしょうか?

なぜこれほどまでに魔術師はタロットに夢中になったのか?

それは実のところ、レヴィの登場以前、魔術は意外なほどヴィジュアル的に充実していない分野っだったことがあげられます。

1801年に発表されたバーレットの「術士」を見ればわかるように、魔術関係の図版はどれも素朴な木版や図形の類であり、美麗な色彩などではありませんでした。かれらにとってタロットははじめて手にする魔術用絵画であり、自分勝手に改変することすら許されたものだったのです。

まとめ

以上、タロットカードの詳しい歴史と起源、魔術的側面にについて紹介しました。

歴史上はじめてタロットが登場した1396年にフランス国王シャルル六世のためにカードが製作されるとの記載から、約300年経った現在でも謎につつまれたタロットの存在を少しでも身近に感じていただけたら幸いです。

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